本人は無念だろうか？
日本なのに銃で暗殺っていう特別さのおかげで各国首脳からの追悼も特別感があったり、病気で長年ベッドに縛られるような苦しい最期じゃなく、あっという間に天へ旅立って、なんだかんだうらやましいと思うのは私だけだろうか。
世襲の政治家として好き放題やってきて、働いてきた悪事もねじ伏せてきた。コロナ禍最初の緊急事態宣言も、社会全体が初めてのことで従うしかないと従順だったおかげで、まるで安倍さんが有能だったかのように語られたり、いろいろあってもなんだか憎めない顔のおかげでかわしてきた（というかごまかしてきた）難局も多々あっただろうと思う。しどろもどろで何言ってるかわからない、ただ有能な部下が書いた紙を読むだけの、まったく総理大臣として頼りにならないあの姿を私は絶対に忘れない。
森友問題と安倍さん本人がどれほど関連のあるものかははっきりしないけど、国会で佐川さんにメモを渡したあの件だけでも私は相当に憎らしい。本人に直接関わりがなくても少なくとも奥さんは関わりがあったわけだし、となると安倍さんと赤木さんの自死を関連付けて考えるのは、間違っているとは言えないと思う。それを思うと、安倍さんの最期ってなんて幸せなんだろうか。赤木さんはどれほど自分を責めて責めて苦しかったことだろう。
それなのに安倍さんを国葬にとか言ってる人たちがTwitterにわんさか居て、私は言葉がヘタなので自分でツイートするのは控えたけれど、反論するツイートにいっぱいいいねをつけてしまった。
テロがダメだということと、安倍さんが偉大だということはまったく関係がない。他国の首脳からしたら「テロによる暗殺」という点が最大の観点であり、たとえば今テロによってプーチンが公衆の面前で暗殺されても「惜しい人を亡くした」という首脳は、少なくとも西側にはいないはずだ。日本国内が安倍さんのせいでどれだけめちゃくちゃになったかなんて関係がないから、そりゃ自国の体面を保つためにも、最大限の追悼をするだろう。
▶追記 2022-07-11 昨日の補足 - 考えるブログ by N-moca
一国の首相なんだから一庶民より偉大なのはたしかだろう、でもその偉大の評価基準は、決して人間としての徳の高さではない。
一方で暗殺の犯人。親の宗教に振り回されさぞかし辛かったことだろう。私はそういう経験がないので、それがどういう類の辛さなのかは想像するしかないけど、恨みを募らせたとしてもそれを晴らす手段は相手に直接的にやり返すだけではない。
彼にとって親の宗教は彼の精神的成長のための一つの例でしかなく、もし親が宗教にハマっていなくても、たとえば男に貢ぐタイプの母親だったり、自分は働かないで息子の稼ぎに頼り切って生活費をもっと寄越せと言ってくるタイプの母親だったり、いくらでも毒親と呼ばれる類の親のせいで苦しんでいる人はいる。
親のせいで自分の人生もめちゃくちゃで、その根本原因は宗教だったということは事実だろうけど、問題はそこじゃないのだ。彼がどういう罪を背負うことになるのか、刑法を知らない普通の一般庶民の感覚からするとまあ死刑は免れないのだろうなと思うけど、おそらく本人も覚悟の上のことだろうし、であるなら安倍さんのような好き放題してきた権力者のために自分の命を無駄にするなんて、もったいない。もっと自分を大切にしてほしかった。
こんな事件が起きても、全国各地で宗教にハマっている親が、教祖への信心を捨てて子どもへの態度を改めるなんてことはそうそうないだろう。私には彼の行為は、結局安倍さんにとっての勝利にしか見えない。
[Posted at 19:25]
