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愛犬が星になった~介護回想編~

数年前から、そろそろ愛犬との別れの覚悟をしなくちゃな、と思っていたけど、いったい何をどう準備しておけばいいのかわからず、ただただ不安が募る一方だった。

でも結論から言うと、その時が来たらできることをするしかないので、まだ元気なうちから特に準備しておくべきことなんてまったくなかった。

死ぬ前にまず、老犬介護が始まったらどうしよう、私にできるのかな、と不安に思っていたけど、歩けなくなっても外で用を足したがるなら抱きかかえながら用を足す手助けをするしかないし、尿が出にくくなっている感じが強くなってきたので慌てて動物病院で圧迫排尿を教えてもらったけど、先生が言うようにうちの犬の場合は自力で出す力は残っていてただ出すものがなかっただけのようで、その後とうとう寝たままシートに出すようになって、最終的に膀胱炎になっている様子もないまま最期の時を迎えた。

老犬介護を覚悟して最初に、何を準備したらいいかわからないからとりあえず百均で人用の吸い飲みを買ったけどずっと使わないまま、結局使ったのは死ぬ数週間前からだった。でも自分で水が飲めないことに気付いてすぐに吸い飲みを使えたのは結果的に良かった。

どういうわけか私は愛犬が寝たきり状態になっていることにしばらく気付かなかった。

老化は最初に腰が曲がり始めて、脚力が弱くなるところから始まった。座り込んだら立てなくなってしまうけれど、どうかしてふと立てたら歩き回る。

でもその状態ではもう自力では排泄の態勢をとれず、まだ歩き回っているうちから排泄のために外に連れ出すときは抱っこだし、排泄時もお腹を抱きかかえて支えていて、戻ってきたら寝床に寝かせていたのでいつから歩けなくなったのかはっきりしないのだ。ある日、そう言えばこれを寝たきりというのだな、と思った。

寝たきりになるとよく言われるのは人間と同じように「褥瘡に気をつけろ」ということだけど、うちの犬は若い頃から贅沢に人用の使用済み布団を寝床にしてもらっていたせいか、自分の重みで傷ができるということはなかった。それでも最後の一ヵ月ほどはやはりそれまでの積み重ねもあるし、私も気を遣うようになって、そのときによってまちまちだけどだいたい3~6時間ごとぐらいには、寝る向きを変えるようにしていた。

それよりも傷ができそうで不安だったのは、まだ歩き回れた時のこと。座り込んでしまうと肉球が滑ってうまく立てないので、何度も何度もこするのだ。それで傷にならないか気を遣った。結果的にこちらもたいした対処をすることもなく、傷にならなかった。

2月末頃にはまだ歩き回っていた記録が残っているので、おそらく3月半ば頃から寝たきりになったのではないかと思う。寝たきりになっていることに気付いたのが5月半ばなので、もしかしたら5月の始め頃という可能性もある。いずれにせよ寝たきり生活は2~3ヵ月程度で、比較的短かったのではないかなと思う。

寝たきりになるまでは介護じゃないというよくわからない思い込みがあったけれど、当然ながら犬が不自由なく歩き回れる状態でなくなってからが「介護」だろうと今は思う。

まだ歩き回れるけど右後ろ脚に力がないために壁にもたれながら歩くので、歩くコースに障害物を置かないように気を付けたり、食器を蹴飛ばしてしまうので飛ばないように気を付けたり、まだ歩き回れるうちのほうが「介護」という意味ではきつかったように思う。

歩けなくなってからの介護できつかったのは、思うように体が動かないために甲高い声で鳴くこと。幸いうちは2軒ある隣家がそれぞれ道路と水路を挟んでいて少し離れているので、近所迷惑はそれほど心配しなくて良かったけれど、夜中じゅうなくので私の睡眠不足が重なってきて、精神的にきつかった。そういうときは、出産後の母親をイメージし、みんなこんなふうにがんばってるんだな、と考えるようにしていた。

家族でやっている事務所の上に住んでいるのでいつでも犬の様子を見られるし、老犬介護という意味ではとても楽な環境だったと思う。隣家との距離が近い団地やマンションなどでは、いろいろと大変なこともあるだろうと思う。

今後、いつでも身軽に引っ越しする身分になりたいと思っているので、今この時期にこんなにどっぷりと愛犬と向き合う生活が経験できたのは本当によかった。

 

引き続き火葬編へ

 

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