N-moca LIGHT

Everything should be okay because YOU ARE ALIVE.

Max LPを引っ張り出してきた

もう長いことレコードを聴いていなかった。

その間放置されてたMaxLP、あちこち移動されたり日に当たったりして、プレーヤーとして正常に使えるのかちょっと不安だった。

まずRopesをかけてみた。45回転にしてるのに明らかに遅い。ならばと33回転にしてみたら、回転数とかの問題じゃなく、、どう表現したらいいのかわからないけどとにかく聴けたもんじゃない。

やっぱりなー、という気持ちと、どうするかなー、いっそ処分して新しいの買おうかな?という考えが脳裏をよぎる。

どうせ処分するなら中を見てみたい。MaxLPを分解した人はいないか検索、いないわけないのだ、このご時世。その人はジャンク品で買ったけど想像以上に壊れてたというもので、回転数云々の修理ではなかったものの、ともあれネジ外して修理してる人を見つけて勇気づけられた。

さらに回転数で検索してると、公式で取説の重要な誤植を発見!誤植自体は私にはどうということのない内容だった(そもそも取説見てなかったので)けど、その内容がドンピシャだった!

製品情報:Max LP / Max LP BK:ION AUDIO

MaxLPは裏面に回転数の微調整をするネジがあるというのだ。


裏面にこういう穴があって、ゴムで蓋されてるので蓋を取ってマイナスドライバーでネジを回すらしい。しかしネジが直接見えてるわけじゃなく、緩衝材みたいなもので覆われていて、見てもよくわからない。ここはやっぱりカバーを開けてどういう部品なのか、中を見てみたい。

てわけで裏返してネジを外してカパッと開けてみた。先述の修理チャレンジャーの動画のおかげでコードが繋がっていることはわかっていたので、ブチッ!とかならないようにそーっと開けた。

中を開けて見てもネジが見えるわけじゃないのでやっぱりよくわからない。とりあえずマイナスドライバーを差し込む。探ってたらネジ穴にハマる。それを左右に回すことでピッチが変わるということらしい。

わからないのでまずネジを右いっぱいに回す。そしてレコードを再生してみた。めっちゃ遅い!次に左いっぱいに回す。再生すると、めっちゃ早い!なんだこれ!おもろ!

当たり前だけど回転数が変わるとピッチも変わる。ちょうどよい具合に調整するために、iPodでデジタルデータの同じ曲をかけながら調整。やってることが完全にチューニングである。まさかレコードプレーヤーのチューニングをすることになるとは思いもしなかった。

自分の満足できる程度にチューニングしてiPodと重なるように再生したら、ピッチは同じなのに速さが微妙に異なる。そう、まるで車の時計のように。(車の時計ってなんでか速いことが多い印象)

そうやってプレーヤー持ち上げたりネジしめたりなんだりしてたら、45回転をジャストで合わせて次33回転合わせても、振動とかで微妙に動くらしく、45回転を聴いてみるとまたズレる。なんだこれ!キリないな!笑!

そして思った。デジタルなんて発想がなかった時代はピッチがどうでも音が歪んでいようとも、それで十分だったんだな、きっと。もちろんそこ改善したい人びとの熱意で今日の再生環境が実現しているわけだけど、てんとう虫のプレーヤーしかなかった庶民(我が両親)とか、聴ければそれで十分だったのだ。そこに楽しみがあって、温もりがあった。

今の時代は演奏者が本当に鳴らしている音を、可能な限り再現した音で聴くことができる。庶民にもできるのだ。だから庶民が音質を求めるなら断然デジタル環境を整えるほうが手っ取り早いし間違いがない。

つまり庶民がレコードをあえて選ぶのは、別の理由がありそうだ。それは人それぞれ異なるのかもしれないけれど。

ビートルズの赤盤青盤の再発は、最後の新曲も重要だけどじつは初期のリミックスがいいらしい。そんなふうに言われてみれば買うつもりなかったけどやっぱり買おうかな、とか、どうせならレコードがいいかな、とか思ってしまうのだった。

ビートルズ『赤盤』『青盤』新版でミックスを担当したジャイルズ・マーティン 「じつは真の革新は新曲ではなく初期楽曲」 - amass

私がレコードを買い集めるようになったのは不純な動機だったので、レコードで聴くという行為にあまり愛着はない。

それでも買い集めるようになってみれば、そこにしかない満足もたしかに感じる。たぶん音楽ではない何かを求めている気がする。音楽を求めているのなら、デジタルで十分なのだ。

まあ、音楽の定義、の話になってしまうのかもしれないけどね。

[2023-10-30 22:45]