N-moca LIGHT

Everything should be okay because YOU ARE ALIVE.

私から音楽を奪うなよ

その昔、ファンの9割が女性と思しき男性バンドのファンだった時のこと。

哀しいかなバンドというものに疑似恋愛は付きもので、私があの人のことを誰よりも好き、私が誰よりもあの人のことを知ってる、あの人に認められている私、ファンの中ではあの人にとっての1番は私、みたいなのが渦巻いてしまう。

最初は音楽に惹かれてその世界に入っていっても気付けば自分も巻き込まれている。友だちがメンバーに差し入れしているのを見たらそうするのが当然なのかなとか、顔と名前を覚えてもらいたいとか話したいもっと近づきたいとか、そういう魔力はどうしたって存在する。

自分がそうなってしまうのをどうしようもなく気持ち悪く貶す自分と、気にすることなく疑似恋愛に邁進する周囲とのギャップに、幾度となく(私が好きだったのはメンバーという人か音楽か)という問いと向き合い、とうとう音楽がその勝負に負けてしまったとき、私はその世界から離れるしか道がなかったのだった。

音楽が音楽のままでいれば、そんなことは起きなくて済むはずだった。最後に酷い痛手を負ったとき、もうこんな思いは二度としないと誓った。それでも男と女である以上、その魔力はどこからか忍び寄る。振り切るのはとても難しい。

ただ一つだけ、その魔力に勝つ方法がある。それは、音楽が音楽のままであること。

メンバーに好き好きアピールをしている女を見るとそれだけでシラける。でもきっとそういうファンがいるからメンタル的に支えられているという面もあるのだろう。

音楽が負けたと認めざるを得ないとき、私にはその世界から去るしか道は残されていない。

私はまだ彼らの音楽を好きでいたい。

私から音楽を奪うなよ。白状してみろ、お前が本当に欲しいものは何だ?

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さて、今日もそろそろ準備して、奈良に向かって走ろうか。最高の夜が待ってるからな!

[2024-04-14 12:25]